宮古島ダイビングの安全新常識|水中で息苦しい「浸漬性肺水腫」の原因とPADI新シグナルをプロが解説 – 宮古島ダイビング|サンアイランド(SUN ISLAND)│エンリッチドエア標準装備・地形派少人数ガイド

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この記事でわかること

・海水を飲んでいないのに水中で突然発生する「浸漬性肺水腫」の仕組みと原因

・潜降時は楽なのに「浮上時(特に安全停止中)」に急激に悪化する圧力の罠

・エア切れと勘違いしてパニックにならないための、水中での正しい見分け方

。PADIの最新セミナーで設定された、誤対応を防ぐ「新しいハンドシグナル」

・高血圧などの持病があっても安全に宮古島で潜るための予防策とメディカルチェック

宮古島の美しい地形ダイビングを安全に楽しむためには、常に最新の水難医療や安全対策のアップデートが欠かせません。エントリー直後の水面付近では少し息切れ気味だったものの、潜降するにつれてそれほど気にならなくなる。しかし、ダイビング後半になって浮上を開始すると再び激しい息苦しさが募り、水深5mの安全停止深度に達する頃には、明確な呼吸困難に陥ってしまう。このような、ダイビングの行程によって変化する厄介で危険な症状を耳にしたことはないでしょうか。

実はこれ、近年のダイビング事故の傾向として世界的に増加している『浸漬性肺水腫(しんしせいはいすいしゅ)』という疾患の典型的な特徴です。この数年、PADIのセミナーで、強く注意喚起がなされており、ダイバーの命を守るための「新しいハンドシグナル」が設定されるなど、今まさにダイビング業界全体で共有すべき最重要の安全トピックとなっています。

聞き慣れない名前かもしれませんが、ガイド歴30年間のワタシ・竹内の視点から見ても、すべてのファンダイバーに今すぐ知っておいてほしい命に関わる知識です。本コラムでは、この「浸漬性肺水腫とは何か?」という基本から、水中で見分けるための重要ポイント、放置することの危険性、そして万が一の時に誰もが瞬時に実践できる新しい対応策までを、分かりやすく徹底解説します。

宮古島の海を安心・安全に満喫したい方は、ぜひこちらの詳細ページをご覧ください!

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水中の安全管理と最新医療知識の重要性

ダイビングは日常を忘れさせてくれる素晴らしいレジャーですが、私たちは常に「水中という特殊な高圧環境」に身を置いていることを忘れてはなりません。特に宮古島が世界に誇る「地形ダイビング」では、水深の上下移動やアーチ・洞窟内への進入など、緻密な浮力コントロールと安定した呼吸が求められます。

今回ご紹介するような『目に見えない体内の生理現象(リスク)』です。30年間現場の第一線で潜り続けてきたからこそ、最新の安全医学に基づいた一次情報をゲストの皆様へ共有し、全員が笑顔で無事にエキジットできる環境を作ることがプロショップとしての使命だと考えています。では、具体的に「浸漬性肺水腫」とはどのようなものなのか、その深部へと迫っていきましょう。

そもそも「浸漬性肺水腫」とは何か?

宮古島ダイビング 安全対策 浸漬性肺水腫とは サンアイランド

浸漬性肺水腫(IPE)とは、海水を誤飲することによる「溺れ」とは異なり、水中に身体が浸かる(浸漬する)ことで引き起こされる『体液の滲み出しによる肺の疾患』です。

まず前提として、「肺水腫」とは、何らかの原因によって肺胞(酸素と二酸化炭素のガス交換を行う場所)に液体が溜まってしまう状態を指します。これにより、酸素を上手く取り込めず、二酸化炭素を排出できなくなるため、激しい呼吸困難に陥ります。ダイビングにおける肺水腫は、その原因によって以下の2種類に明確に分類されます。

1.浸水性肺水腫: 何らかのトラブルでレギュレーターが外れるなどし、外から海水をダイレクトに飲むことで肺に水が侵入する状態。これはいわゆる「溺水(できすい)」であり、突発的な事故にあたります。

2.浸漬性肺水腫: 海水を一切飲んでいないにもかかわらず、自分の体の中から滲み出してきた「体液(血漿成分)」によって肺が満たされてしまう状態。こちらは「疾患・病気」に分類されます。

人間の体は、水に入る(浸漬する)だけで、水圧の働きによって手足の末梢血管にある血液が、中心部(胸腔内)へと一気に押し集められます。これは健康な人間であっても必ず起こる正常な生理現象であり、通常であれば「胸が少しうっ血した状態」になるだけで問題はありません。

しかし、ここに「元々の高血圧」「血圧をコントロールする薬の服用」「心臓や肺の潜在的な疾患」「冷たい水による血管の収縮(過度な冷え)」、さらには「きつすぎるウェットスーツによる締め付け」などの要因が重なると、胸の血管内の圧力が許容範囲を超えて跳ね上がってしまいます。その結果、血管の壁から水分がじわじわと肺胞の中へ滲み出し、自前の体液で肺が満たされてしまうのです。

したがって、海水を全く飲んでいないクリーンな状態であっても、水中に入ること自体が引き金となって誰にでも発症するリスクがある「疾患」であるという認識が、現代のファンダイビングにおける大前提となります。なお、原因の特定が難しい水中であっても、現場でのファーストエイドとしては「100%医療用酸素の吸入」と「必要に応じた人工呼吸(救命処置)」が極めて有効であることも医学的に証明されています。(より専門的で詳細なメカニズムは、DAN JAPANの公式サイトに掲載されている医学記事が非常に参考になりますので、ぜひ合わせてご一読ください。)

 

水中で異変に気付くための「圧力」の罠と誤対応のリスク

浸漬性肺水腫は、「潜降すると一時的に楽になり、浮上(特に安全停止深度)すると急激に息苦しさが悪化する」という、圧力変化に伴う特有の罠を持っています。

この疾患の最も厄介な性質は、ダイビングの最中には症状が「隠されやすい」という点にあります。エントリー直後の水面では息切れを感じていても、いざ潜降して深場(高圧環境)へ向かうと、呼吸しているガスの「酸素分圧」が物理的に高くなります。高分圧の酸素を吸うことで、多少肺の機能が落ちていても体内への酸素供給が一時的に間に合ってしまい、症状が一時的にマスク(緩和)されてしまうのです。そのため、ダイバー本人は「なんとなく大丈夫になったな」と誤認し、そのままダイビングを継続してしまいがちです。

しかし、その水中を楽しんでいる間にも、肺の中では体液の滲み出しが着々と進行しています。正式な対応をしないままダイビング後半になり、浮上を開始すると状況は一変します。

水深を上げる(浮上する)につれて、周囲の圧力が下がるため、吸入ガスの酸素分圧も急激に低下します。特に、水深10mから水面までの「最も圧力変化が激しい浅場」や、静止して待機する「水深5mでの安全停止深度」に達した時、それまで酸素の圧力で無理やり保たれていた息苦しさが、一気に牙を剥いて明確な呼吸困難として顕在化するのです。

ここで恐ろしいのが、水中でパニックになったダイバーと、周囲の「誤った対応策」です。 激しい息苦しさに襲われたダイバーは、自分のレギュレーターが故障して「エアが来ていない」と錯覚し、慌ててバディやガイドに対して「エア切れ(ガス欠)」のハンドシグナルを出してしまうケースが多々あります。

エア切れサインを受け取った側は、当然通常のレスキュー手順通りに「オクトパス(予備の第2レギュレーター)」を差し出します。しかし、本質的な原因はエア切れではなく『浸漬性肺水腫による自身の肺の機能低下』です。過呼吸で精神的ゆとりのない極限状態のなか、オクトパスへとレギュレーターを咥え直す行為や、強制パージボタンによって大量の空気が口内に流れ込む衝撃により、誤って海水を飲み込んでしまう二次災害が引き起こされます。つまり、疾患であったはずの浸漬性肺水腫のうえに、事故である「浸水性肺水腫(溺れ)」のきっかけを自ら与えてしまうという、最悪の悪循環に陥る危険性があるのです。

だからこそ、単なる「エア切れ」の過呼吸なのか、それとも「浮上時に悪化する浸漬性肺水腫」なのかを、水中でお互いが冷静に区別し、絶対に間違った対応(不要なレギュレーターの咥え直し等)をさせないための知識と準備が、命を分ける境界線となります。

最新アップデート!新しいハンドシグナルの設定と予防策

水中での悲劇的な誤対応を防ぐため、「エア切れとは明確に区別し、自身の呼吸器系の体調不良を伝えるための【新しいハンドシグナル】」が世界基準で新たに設定されました。

これまでは、水中で「息が苦しい」=「エアがない」というシグナルしか事実上存在しなかったため、前述のようなオクトパスの誤配給が起きていました。今回新設されたシグナルをダイバー本人が明確に使用することで、「空気は出ているけれど、とにかく自分の体が息苦しい、体調が悪い!」という事実を、バディやガイドへ正確に伝えることが可能になります。

このシグナルを受け取ったガイドやバディは、無理にレギュレーターを交換させるような危険な行為を避け、現在のレギュレーターをしっかりと口元に保持させたまま、安全かつ速やかに水面へと浮上させる適切なレスキュー行動へと一発で移行できるようになります。この極めて重要なシグナルは、今後のアマチュアダイバー向けのライセンス取得コース(オープンウォーター・ダイバー・コース等)のカリキュラムにも、新たな必須内容として順次組み込まれていくことになっています。

水中での安全を確実なものにするためには、以下の双方向からのアプローチが不可欠です。

ダイバー本人: 「ちょっと息苦しいな」「おかしいな」と思ったら、我慢したり恥ずかしがったりせず、この新しいシグナルを用いてガイドやバディにハッキリと自分の異変を伝えること。

プロのガイド・バディ: 相手の残圧計(ガス圧)が十分に残っているかを確認し、さらに排気される泡(呼気の量や頻度)が異常に細かく激しくなっていないかなど、視覚的な情報から相手の「隠れた異変」にいち早く気づくこと。

また、この浸漬性肺水腫のリスクを最小限に抑えるためには、事前の「保守的なダイビング計画」が何よりの予防策となります。 高血圧である、あるいは血圧コントロールの薬を日常的に服用している、何らかの基礎疾患を抱えているという全ての方が「ダイビングをしてはいけない」というわけではありません。

事前にダイビング専門医や主治医から「浸漬性肺水腫の発症リスクと可能性」について適切なアドバイスと診断(メディカルチェック)をもらい、それを自分自身、バディ、そして当日担当するガイドの間でしっかりと「一次情報」として共有しておくことが重要です。水深を浅めに管理する、体に負担のないゆったりとしたルートを選ぶなど、事前に正しい認識を持って「保守的なダイビング」を組み立てることで、リスクを完全にコントロールしながら、無理なく安全に宮古島の海を楽しむことができます。

水中で突然起きる体調不良に対して、最新のハンドシグナルという具体的な武器を持ち、事前の正しいメディカルチェックを怠らないこと。これこそが、これからの時代を生きるファンダイバーが身につけるべき、最高峰の安全マネジメントです。

まとめ・スタッフひとこと・アドバイス

今回のコラムでは、比較的新しいダイビング医学の知見である『浸漬性肺水腫』の特徴と、その対策となる新しいハンドシグナルについて詳しくご紹介しました。

通常、この疾患は陸上に上がって安静にし、適切な酸素吸入等を行えば「翌朝にはすっかり良くなっている」というのが一般的な経過をたどるそうです。しかし、一度発症した方は「非常に繰り返しやすい(再発率が高い)」という性質を持っており、繰り返し発症する方のなかには、重篤化したり最悪の死亡例に至ったりするケースも報告されています。だからこそ、「昨日大丈夫だったから今日も大丈夫」と過信せず、毎回の事前のメディカルチェックと、体調の正確な把握が何よりも重要視されているのです。

いつ、何が起きるか分からない水中世界だからこそ、私たちプロのガイドが最新のセミナーや医療知識から常に多くの情報をインプットし、このように皆様とWebを通じて共有し続けることが大切だと感じ、今回のコラムを執筆いたしました。他店の一般的なブログのようにただ海の綺麗さを伝えるだけでなく、こうした「ダイバーの命を守るための本物の一次情報」を発信し続けるショップでありたいと思っています。

春が過ぎ、あっという間に夏が来て去ってしまうように感じられますが、地形の聖地である宮古島ダイビングの本当のベストシーズンや、海の深い魅力はこれからが本番です!

新しいハンドシグナルと正しい安全知識をバディ同士でしっかり共有し、サンアイランドと共に、これからもどこよりも安全に、最高の宮古島の海を潜り倒しましょう。皆様のご予約を、万全の安全体制でお待ちしております!

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創業20年のサンアイランドでは、宮古島ダイビングスポットを知り尽くしたガイドが、皆様の宮古島ダイビングにおける忘れられない感動体験を全力でサポートします。

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(※下地島・伊良部島などエリア別の魅力をまとめています)

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