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減圧症のリスクを減らすダイビング

大物、小物、群れ、サンゴ、地形、あれこれ楽しいダイビングですがそこにはいつもリスクが伴っています。リスクと言っても様々ある中で今回は減圧症に視点を置いた海コラムです。

いつもなんとなくローカルルールで現地ガイドに付いて潜り、ダイブコンピューターも無減圧内で潜っているから大丈夫!と思っている方も、実はリスクあるダイビングをしているかもしれません。これから紹介させていただく簡単な予防方法も含め、今一度減圧症について見直して見てはいかがでしょうか。

 

減圧症についてはライセンス取得時に誰もが習うことですが、それから時間が経ってしまっていたり普段の生活ではあまり身近な問題ではないため実際はぼんやりとしか理解出来ていない方が多くいらっしゃいます。ですがダイバーにとってはとても大切な問題。まずは簡単におさらいです!

 

減圧症とは?

 

1.ダイバーが水中という圧力下で、シリンダー内の空気から呼吸すると気体(窒素)が体内に溶け込む。

2.その量は周囲の圧力に左右され、より深い場所(高圧下)長い時間潜ると多くの窒素が溶け込む。

3.窒素は体内では活用されない不活性ガスなので、ダイバーは圧力の低い浅い水深に移動し余分な窒素を呼吸によって排出してからダイビングを終了する。

4.ここで余分な窒素を排出しないまま浮上してしまうと、窒素が体内で気泡として残り、それが体に様々な障害を起こす。それらをまとめて減圧症と言う。

 

では、そんな誰にでも発症の可能性のある減圧症をどう防げば良いのでしょうか。

 

今から出来る簡単な予防方法

 

a.ダイブコンピューター

オープンウォーターコースで習う当たり前のことではありますが、ダイブコンピューターを守りNDL(無減圧潜水可能時間)内で潜ること。

但しダイブコンピューターも直接体内の窒素量を測れるわけではないので、あくまで安全の目安。個人の体格差やその日の体調までは考慮されていないため、ダイブコンピューターを守っていても減圧症のリスクはあります。

それを踏まえた上で、NDLギリギリのダイビングをするのではなく、その時間に余裕を持ったダイビングを行って頂きたいです。また、いくらガイドと同じルートを通っていても全く同じということはないので必ず1人ひとつダイブコンピューターを携帯することや、それを随時モニターする自己管理も大切です。ダイブコンピューターが示す飛行機の搭乗可能時間も余裕を持もって必ず守って下さいねー。

 

 

b.安全停止後の急浮上

ダイビング中の浮力コントロールミスによる急浮上はもちろんですが、安全停止後の浮上スピードに注意すること。

5mで3分間の安全停止が終了した後、水面まで一気に泳いでいく方が多くいらっしゃいます。ここでの減圧症発生率がかなり高く、そこまでどれだけ安全に潜っていても最後の浮上を注意しなくては意味がありません。

一般的には1分間に18mより遅い速度というのが安全な浮上スピードとされています。また多くのダイブコンピューターが1分間に10mを超える浮上スピードになると警告アラームが鳴るようになっています。

それがわかりにくい方は、先行ロープに掴まった状態で一拳ごとに1秒かけて浮上する。または自分が吐いた泡の中で1番小さい気泡を追い越さないスピードで浮上する。

というのをイメージしてみて下さい。かなりゆっくりに感じるかもしれませんが、これが本来の安全な浮上スピードなんです。

ガイドの浮上の合図を受けて急いで浮上するのではなく、これらの方法で安全に浮上することを心掛けて下さい。流れ・ウネリの影響がある場合や浅瀬での浮力コントロールがどうしても難しい場合は躊躇せず潜行ロープ等に掴まり、安全停止と浮上を行うこともおすすめします。

 

安全停止

 

 

c.ダイブプロフィール(1ダイブの時間・深度をグラフで表したもの)

模範的(平均水深14m以内、潜水時間45分以内)なダイブプロフィールでダイビングを行うこと。

これを聞いても、何が模範?その基準は何?とピンとこない方も多いかもしれません。私もインストラクターではなくファンダイバーとしてガイドにただ付いて潜っていた頃は気にしたことありませんでした。今となっては知っていれば良かったと思うし、皆さんにも知っていてほしいので簡単に説明させて下さい。

 

まず体には、窒素の吸排出が速い組織・遅い組織があります。

筋肉・脊髄・皮膚・肺・腎臓・肝臓には速く窒素が吸収される分、浅瀬に移動するに伴い排出も素早くされます。

骨・関節・靭帯・脂肪・骨髄には逆に窒素の吸収が遅く溶け込みにくい分、一旦溶け込むと浮上しても完全に排出されるのには時間がかかります。

これらそれぞれが水深に応じて窒素の吸収の仕方が違うため、単純に深いから危険浅いから安全と、それだけではなくなってきます。

 

例えば30mへのダイビングはNDLも短く危険そうですが、その分深度や時間への危機感と注意もあります。またそのような深場では先ほど説明した速い方の組織が反応するため、30mから適切な浮上速度で徐々に深度を上げれば速い方の組織の窒素は素早く排出され、遅い組織にはそれ程窒素は蓄積されません。

 

ダイブプロフィール

 

実際の宮古島ポイント『アントニ・ガウディ』でのダイブプロフィールです。この様にダイブタイムの約3分の1で最大水深を取り、残り2分の1で徐々に深度を上げてくというのがセオリー通りのダイブプロフィールとなります。

 

それとは逆に15m~20mでのダイビングはNDLも比較的長くガスの消費も少なく安全そうです。それ故危機感も薄れ、NDLギリギリまで最大水深と同じラインに長く滞在し最後に深度を上げるというダイビングをしがちです。

これが上記の写真とは異なりグラフが箱型になる様から箱型潜水と呼ばれ、知らぬ間に速い組織から遅い組織まで全体的に多くの窒素を溜め込んでしまいます。すると遅い組織に溶け込んだ窒素は吸収に比べて更にゆっくりしか排出されず、多くの組織がギリギリのちょっとしたことで一発アウトな状態となり、減圧症発症率が最も高く危険なんです。平均深度が15m以上になるダイビングはNGです。

 

また、1度深度を上げたにもかかわらず見たい生物景色を求めてまた潜行してしまったり。上手く浮力コントロールができずいつの間にか浮上潜行を繰り返してしまったり。

こちらはグラフが上下するのを繰り返す様からノコギリ潜水と呼ばれ、何度も繰り返される大きな圧力変化も体への影響が大きく減圧症のリスクも高くなります。安全停止後の再潜行等は絶対にNGです。

 

起伏に富んだ宮古島の地形ダイビングでは我々もこれらがかなり重要だと思っています。その上でのルート取りをしているため、エントリー前のブリーフィングよく聞き必ず守って頂きたいです。

ダイブプロフィールが確認出来るコンピューターも増えています。是非一度気にしてみて下さいね~。

 

ダイブプロフィール

 

 

d.圧迫・寒さ・水分不足・アルコール・薬・タバコ・激しい運動・肥満・高年齢

これらは全て、血液の循環に影響が及びスムーズな窒素の排出が出来なくなるため減圧症の原因とされています。

体に合ったスーツを使用する、体を冷やさない、喉の渇きを感じられる前のこまめな水分補給等でも簡単な予防方法になりますよ。

 

e.エンリッチドエア・ナイトロックス

エンリッチド・エア・ナイトロックスを使用することで、通常の空気を使用したダイビングに比べて減圧症のリスクを大幅に減らすことがで出来ます。詳しくはこちらで紹介しています。

 

 

以上、順に上げてみたらダイビング前からダイビング中ダイビング後まで出来ることや注意することが沢山!でした。

より安全で楽しいダイビングに繋がりますように~。

 

投稿者:みき

2019/01/29 | うみコラム 

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